不動産用語に「環境瑕疵」という言葉があります。
物件の価値を決めるのは広さや間取り、築年数が重要だと思いがちですが、近年この「環境瑕疵」という考え方も重要になっています。
手持ちの不動産の売却を決めたら、物件の周辺環境についても調べておく必要があるのです。
物件自体の価値とは別の価値である「環境瑕疵」
売れにくい不動産とはどんなものでしょう?
狭い、汚い、駅から遠い。
思いつく要素はたくさんあると思います。
しかし、「周辺環境」が思い浮かぶ人はまだ少ないのではないでしょうか。
築年数が浅く、内装も外観もおしゃれできれいだとしても、例えば近くにゴミ処理場があったら・・・。
もちろん、その物件は高くは売れないでしょう。
不動産そのものには何ら問題がないにも関わらず、周辺環境に問題がある場合を「環境瑕疵」という言葉で表します。
これは法律上の正式な言葉ではありませんが、ここ数年不動産の周辺環境を巡る裁判などが増え、一気に認知度が上がってきたのです。
「環境瑕疵」を抱える物件については、売却時に買主にあらかじめ説明しておく義務があります。
また、売却時に発見されていなかった問題が後々発覚した場合でも、売主は買主に責任を負うことになっているのです。
「環境瑕疵」とはどういったものか
では、具体的に「環境瑕疵」とはどんなものなのでしょう。
代表的なものでは、日当たりや眺望を阻害する物が近くにあるとか、騒音・悪臭・震動の元となる建物が周囲にある、といったケースが挙げられます。
他にも暴力団事務所が近くにあるとか、近所にトラブルメーカーな住人がいる、といったようなケースもあります。
「環境瑕疵」については、不動産の持ち主によって解決できる問題ではないことが多く、しかしながら売却時には価格に大きく影響する要因ともなっています。
これまでに裁判になった例を挙げると、購入時に希望していた眺望が、後に別業者によって建設された建物によって阻害されてしまい、購入者と不動産会社で争う形になったという判例があります。
もちろん、眺望が後々に変化していくことはどうしようもないので、この裁判では訴えは棄却されました。
しかし、このような「環境瑕疵」を巡る争いやトラブルは近年増加しており、不動産を売却する人にとっては、丁寧に扱う必要のある問題なのは間違いありません。
売却活動がスムーズに行えるよう、物件の周辺環境についてもあらかじめ調べておくと安心です。
【2014年8月12日現在の情報】